そのコンテクストの切り口は、従来のブランディングの課題をさまざまな形で解決している。たとえば、ブランドは目に見えず、つかみどころのない特殊性をもつが、それをコンテクストで表現して可視化し、扱えるものとして構造化している。特に「意識の深層にあって表現しにくい暗黙的な」ブランド知識にまで分け入り、コンテクストによる連想ネットワークのモデルで顕在化している点は画期的だ。
また、顧客へのメッセージにコンテクストを計画的に組み込むことで、企業と顧客間で価値観や経験を共有する戦略シナリオを提示。企業のブランド・アイデンティティーと顧客のイメージ、それらを結ぶコミュニケーションの3領域における「コンテクストの共有」の戦略やコミュニケーション・モデルは、企業と顧客の間に生じる溝を埋めるものになる。
こうした理論をベースに、ブランドの創造プロセスや、ニチレイの「アセロラドリンク」のブランディング事例、3領域の実践プロセス、ブランド・パーソナリティーの構造化などを展開している。ブランド価値の源泉や、顧客とのコミュニケーションを見直すうえで必見の理論書である。(棚上 勉)
これはすごい
このブランディング理論はすげぇ。
更に踏み込めば、コンテクストを創出する過程で、
広告・SP・PR・イベントなどの役割分担が相当明確になります。
それぞれの得意分野で文脈を形成すればいい。
コミュニケーション従事者必読の一冊でしょう。
ブランド論の歴史を変える一冊
実践的なブランド論、「理論を踏まえた実践を事例として扱っている本」、これはブランドを商売にしている人たちにとって、喉から手が出るほど欲しいものであったろう。そのど真ん中に投げ込まれた本書は、日本の全ての真摯なブランド関係者(実務・学術)に影響を与えたのではないだろうか?
実際ここで大々的に用いられた「コンテクスト」というタームは、じわりじわりと業界に浸透していき、現在国内外で「コンテクスト○○○」というネーミングは少なからず見られる。また、本書で採用されたラダリング法は、2002年夏時点では中々実務で見られないものだった。が、現在では国内の多くの代理店のプレゼンに登場するようになった。
一方に「企業視点のブランド論」(例.ブランドのEquityを数量化して企業の資産として計上)があり、もう一方に顧客視点のブランド論(例.ブランドのValueは顧客の心の中にある)がある。本書で採られた方法論は、その両者のブランド知識のズレ(企業側のブランドアイデンティと顧客側のブランドイメージ)を認識し、溝をコミュニケーションで埋めていこうとするものである。
コミュニケーションとは何か?なぜ広告会社はコミュニケーションを生業とするのか?実際業界の内側にいても、この問に自信を持って答えられる人間は少ない。
そのような中、一つの明確でシャープな回答を本書が鮮やかに示してくれたといえるだろう。
コミュニケーションで築くブランド
筆者は独自の理論であるコンテクストブランディングを「コンテクストに注目したブランドの構築や活用、維持、活性化などを含んだ一連の取り組み」と定義している。この定義に従い、「企業」と「顧客」という視点を一貫してもち、両者のコンテクストを作るためののコミュニケーション方法を巧みに説明している。理論は、アーカーのブランド論を用いているといえるだろう。ただ、さほど難解な語句もなく、図を多用しているので比較的わかりやすい。
中でも、ニチレイのアセロラドリンクの事例はわかりやすい。これまでのブランドに関する書籍は「イメージ的」であったのに対し、本書では理論を踏まえた実践を事例として扱っている。
本書のもう一つの特徴は、すべての章において、「企業」、「顧客」という視点を一貫して貫いている点だ。これまでの書籍では企業的視点のブランド論であったのに対し、本書は「顧客」のデータを用い、解析し、顧客の考え(ブランドイメージ)に基づいたブランド論を展開している。
ブランド論を、主にコミュニケーションの視点から展開している本書は一読の価値はあるといえる。
「マーケティング」という用語は、現代社会に氾濫しすぎていて、多くの情報を集めれば集めるほどその姿が霞のかかったものに見えてきてしまいます。そこで、皆さんにこのサイトの管理者である私が伝えたいのは、古い書籍を何か一つでも良いから読んでみて欲しいということです。マーケティングは、そのカバーする領域は広がり、時を追うごとにその重要さを増してきています。しかしながら、これまでマーケティングを研究してきた大家たちは、未だに新しいと感じることのできる視点・切り口をすでに書籍の中で示してくれています。新しい情報を集めることは言うまでも無く重要です。しかしながら、本当のマーケティングの基礎を身につけたいのであれば、図書館へ行ってこれまで沢山の書籍を残してきてくれたマーケティング先駆者達の成果を読んでみてください。温故知新、必ず新鮮な何かを掴めるはずです。
copyright © 2006 マーケティング戦略と用語ガイド All Rights Reseved